今年の正月、三が日。夫の実家に帰省していた時にその電話は鳴りました。
受話器を取るお父さん。
「息子なら、今ここに居ますが、何か」。
お茶の間で、ハッと顔を見合わす親戚一同。
それってまさか。そうです。「振り込め詐欺」電話。
いやぁ、よくかかってくるんですよ〜、日常茶飯事でねぇ。ってお父さんニコニコしてますけど笑いごとじゃないですよ!と真面目な顔で皆に突っ込まれ、お姉さんがビシッと一言。
「日常茶飯事じゃなくて、そういう電話がかかってきたら、私たちにちゃんと報告してよ!」
お父さんが悪いわけじゃないんだけど、お姉さんの心配も痛いほどわかるから、そう強く言うのも分かる。
振り込め詐欺の電話ってホントにかかってくるんだ!!という恐怖とは裏腹に、のほほんと危機感のないお父さんの様子を見て憂慮する親戚一同・・・。
次は我が身かもしれない。
詐欺電話なんて掛けてこなけりゃそれで済むのに!!お金かけてまで対策を施すのもなんだか腹立たしい・・・でも被害に遭ったら取り返しのつかないことになる。
今回はわたくしカオジロが、振り込め詐欺電話の対策にあたって、我が家が検討した過程を共有したいと思います。
「振り込め詐欺」の電話は、身近で起こってる。
日経新聞によると、振り込め詐欺を含めた特殊詐欺の2015年の被害額は、476億円だったそうです。
特殊詐欺被害6年ぶり減 15年476億円、「架空請求」は増加 https://t.co/Rjo7NJQ7PC
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) 2016年1月28日
これでも、一時に比べれば減少したのだそうですが、まだまだ被害額は高水準で推移しており、まったく安心できる状況ではない。というのが現状です。
お父さんに続いて、お母さんも話します。
「そういえば、最近、夜中にも電話がかかってくるのよね。2、3回鳴って、すぐ切れるんだけど、その度に布団から起き上がってしまうのよね。」
おいおい。。お母さんまで。それ、もっと早く私たちに、言ってくださいよ。。
おそらく、機械的な通電確認のような電話かと思いますが、夜中に鳴る電話はとにかく気持ちが悪いですね。
詐欺電話といい、迷惑電話といい、携帯ならすぐに着信拒否だよそんなの!!変な電話が来るたびに起こされてちゃ、健康を損ないかねません。
ひとまず、応急処置として、夜寝る前は必ず留守番電話は設定しておきましょう、と話しました。
振り込め詐欺電話の対策。親の意向と、子の意向。
すぐに対策できそうなことを考える。
そんな話を聞き、大人たちはすぐさま「オレオレ詐欺電話」対策で話し合い始めます。
今の電話、電話器側で非通知を受け取らない設定にできないものか?と、皆で固定電話をいじります。
「ああっ、ナンバー・ディスプレイ未契約。」
しかも、一昔前の電話機、液晶が壊れているのかディスプレイが見づらい。ナンバー・ディスプレイを契約をしたとしても、これじゃまったく使い物にならない。
しかも本体側で着信拒否の設定ができない。
一応ファックス機能一体型の電話機でしたが、ファックス機能も故障し使い物にならない状態だった。
さらに子機を見てみれば、完全にディスプレイが消えてる(恐怖)。もう何年もこの状態で使用しているとのこと。
着信はするけれど、誰からの着信か分からないというのは、ケータイ使い慣れてる世代からしてみれば恐怖でしかありません。
両親そっちのけで(すみません)、親戚一同話し合います。
ぶっちゃけ、固定電話は必要ないのでは・・・?
(一同)「携帯電話もあることだし(買い換えるのもなんだし)、いっそのこと、この機会に固定電話、手放しちゃう?」
しかしお父さんから、それは断固NG!とのお達しが。
ご両親、携帯電話を持っていながらも、古くからのお付き合いある人とは固定電話で今も繋がっているそうで、固定電話を手放すわけにはいかないとのこと。それもそうだな。
詐欺電話のせいで、お父さんお母さんの長年大切に築き上げてきたコミュニティまでをも潰すわけにはいきません。
であるならば、仕方ないですが電話機本体の買い替え決定ということになります。
さぁ、電話機を買い替えよう。
ご両親の要望は、きちんと着信拒否ができて、誰からの電話かパッとわかるようにディスプレイ表示される電話機。
ファクシミリ機能はもう使わないから、電話機だけのシンプルなものがいい。
「最新の電話機なら、カタカナ表記じゃなくて漢字表示されるものも出てるわよ」とお姉さん。なるほど。
振込詐欺電話対策ができる、求める固定電話器の希望条件
求める固定電話の機能
- 電話器側で、着信拒否ができる(非通知拒否、特定の番号拒否機能は必須)
- FAX機能は不要
- シンプルな機能(機械モノが苦手)
- ディスプレイは漢字表記(必須)
- ディスプレイが大きな文字
- 出るべき電話かそうでない電話か、一発でわかる機能
- 着信音で受話を判断するのは難しい(パニックになるため)
- 子機のディスプレイも漢字表記のもの
- 親機自体が子機のような形状(たまに充電するコードレスタイプのもの。かつ、上記条件を満たすものがあれば)
ケータイをメインで使用、家の電話機はサブ機として使用。
話し合いで決まったのは、- 電話が鳴っても基本出ない。知り合いからかかってきた時だけ出ていいものとして扱う。
- メインは、携帯電話を使うようにし、固定電話はあくまでサブとしての利用に制限。
- 親戚(私たち)も、固定電話には掛けずに、携帯電話の方に掛けること。
固定電話を解約できないもう一つの理由として、公的機関や金融機関に登録している番号は、家の電話機の番号の方なので、変更手続きとなるとかなり煩雑になることが懸念されます。
それいけ、ググりの達人
となれば、次はグーグル先生に頼る番です。正月早々、猛スピードで新型の電話機について調べる私。「オレオレ詐欺 電話機」などググり、おりゃ〜!と片っ端から検索したのを覚えています。
これほどまでに振り込め詐欺が増え、対策を施した電話機のニーズがあるならば、それに応える商品は絶対みつかるはず。
振り込め詐欺対策機能つきの電話機
振り込め詐欺対策がなされた電話機は、どうやらメジャーなところだと「シャープ製」と「パナソニック製」が市場の大半を占めているようで、機能も充実、口コミも豊富そうでした。
たしか、Pioneer製もお手頃価格で多数発売されていましたが、日本製の白物家電好きな両親なのでそこは受け入れて、機能重視のシャープ製とパナソニック製の二者択一で比較することにしました。
新しすぎる機械モノを扱うことに抵抗がある、シニア世代。
とはいえ、70代、80代のご両親ですので機械モノには正直、不慣れです。
長年使ってきて機能もボタン配置も使い慣れている家電ならともかく、新しい家電に対しては抵抗があるので、なかなか覚えられないそう。
説明書をかなり読み込んでから使用されている姿からも、大変そうなのがうかがえます。
更年期?ホルモンバランス?要因は様々です
特にお母さんに至っては、今の携帯電話に買い換えてから、それはもう使いこなすのに必死だったようで。両手で慎重にキーを打ち、必死に画面を眺めていたら汗が出て頭がクラクラ、熱も出て寝込んでいた、と言います。
お母さんの話、私も分からなくもありません。私も妊娠中、つわりもありパソコンには全く触れられませんでした。画面を見つめるとクラクラと。目がチカチカして。でもさすがにパニックにはなりませんでしたが。
そのあたり、女性の場合はホルモンバランスなども深く関係あるようですが、その頃の気持ちが滅入ってしまうような感覚は今でも覚えています。
今となっては1日6時間以上はPCに触れてますがね。。
と、まぁ、お母さんに限らず、この傾向は70代〜のシニア世代に多いのかもしれませんが、未だに携帯の着信音が鳴ると「ドキッ」とされ、パニックに陥るようです。
だから、今は実家の携帯へ私から子供の写メやメールを送ったりするのは控えていて、その代わり、休日は極力、実家へ顔を出すようにはしています。
パナソニック製とシャープ製のスペック比較
お待たせしました。スペック比較。
形も一見瓜ふたつ?と思ってしまうくらい似ていて、機能も一見同じようなものを持っていそうな、パナソニック:VE-GD60DLと、シャープ:JD-AT80CLの電話機について私なりに比較してみました。
第一条件:電話帳に載っていない電話は拒否設定にする
これはどちらの電話機でも基本できます。
別途、ナンバー・ディスプレイ契約が必要になります。実家はケーブルテレビ加入なので、コールセンターへ連絡を入れ、契約の手続きを行いました。
J:comだと月々400円(税抜)かかりますが、ナンバー・ディスプレイくらいの機能はつけておいたほうが良いです。もうオプションじゃ無くて標準機能としておいて欲しいくらい。
実家は先日に運転免許証も返納したばかりなので、車の維持費やら保険やらの費用分をこちらへ回すと考えれば、この位の出費は仕方ないよね、とお父さんを説得。
コールセンターの方も、正月三が日なのに対応ご苦労様です。
出て良い電話か、そうでない電話か。すぐ判断できる工夫
先述しましたが、知人からの電話かそうでない電話か、すぐに判断できるような工夫が施されていること。それが私たちの求める電話機の第二条件でした。
この点、表の2行目を見ていただきたいのですが、シャープは「大きな安心LED」という機能が備わっています。これ、着信時に大きなランプで知らせてくれるんです。
この機能の有無が、シャープさんに軍配があがる決め手となりました。
聴覚だけじゃなくて、視覚で認識させる。
先ほども言ったように、お母さんは携帯が鳴るだけでパニックになる人。
視覚でも一発で判断できるように、電話に出ていいか、ダメなのか?を、ハッキリ五感で伝えるほうが良いんです。
テンパってる時って、ディスプレイをじっくり見て判断するほどの心の落ち着きはないと思いますし。あ〜、分からないから、鳴ってる電話に出ちゃおう!・・・それが一番怖いんです。
この、大きなランプでお知らせする機能があるのが、シャープさんだけのようなんですね(2016年3月現在)。子機にもランプがついてるのが、ほんと助かります!
他の項目も見てみましょう。
第二条件:ディスプレイがカタカナ表記ではなくて、漢字表記のもの
パナソニックVE-GD60DL-Wすぐに誰からの電話かを判別できるように。ディスプレイが大きければ大きいほど、見やすくて良い。漢字表記は必須!!
両者とも漢字に対応しています。見やすさは店頭で確認してみてください。それほど変わらないと思いますが。どちらもディスプレイを起こして角度調節できるので便利です!
ディスプレイが漢字表記でファックス機能無しとなると、シャープ、パナソニックの中でもかなり機種が限定されます。
実は、カオジロ家が家電量販店に行った時は、正月期間ということもあって、パナソニックVE-GD60DL-Wはまだ店頭に並んでなかったんです。新製品が安いお店だったんですけど。
だから今日調べて、うわあ!パナソニック製の新機種、見た目シャープのとそっくりやんけ!とかなり驚きました。
その他の機能
トビラシステムズという外部サービスと提携すれば、過去に迷惑電話番号のデータバンクから電話機が自動で常に最新の情報を仕入れ、いざかかってきた時に撃退してくれる。
ただし、あやしい電話を全て撃退できるという保障は無いです。
それに、この機能を契約したら、ナンバー・ディスプレイと合わせて計算すると月700円〜はかかります。
今回は、電話機はメインとして使わないし、電話機には出ないこと前提で購入するので、そこまでのサービスはいらないと判断しました。だから我が家にとっては重要項目ではないです。
本当に必要になれば導入すればいい。電話機のボタンひとつで契約できます。機能はシンプルに。
パナソニック製の電話機で気になってしまった機能
パナの電話機には、ドアホン接続という機能があります。インターホンとリンクするんです!
パナソニック製のインターホンをお使いの家庭、多いんじゃないんでしょうか??
私、住宅業界にいたもので、住設にはちょっぴり詳しかったりします。パナ製のインターホンセットを基本仕様としているハウスメーカーは多いですから、こういった形で電話機とワイヤレスで接続できる機能は嬉しいかも。
パナもいよいよナイスな視点で攻めてきましたね!!
他にも、パナソニックの電話機にはシニアを見守る機能が色々あります。窓・ドアセンサーや、人感センサーまで。
固定電話なんて不要!という声が多い中、メーカーはこのような「見守り機能」を充実させ、固定電話は離れて暮らすシニアには欠かせない家電である!、と電話機自体のあり方を見直し、再解釈させる訴求を行っています。
これ、とても大切な事。
電話機=シニアの必需品、となる日がそう遠くはない気がします。
パナソニック製電話機の機能を見て、そう感じずにはいられませんでした。
結局我が家が選んだのは、この電話機。
というわけで、夫と相談し、結局こちらの
シャープ デジタルコードレス電話機 子機1台付き
迷惑電話対策機能搭載 JD-AT80CL
に決定しました。
我が家で、この電話機に利用中の電話番号を200件ほど登録してから実家へ設置しました。
ですが電話帳登録、意外と時間かかりました。。漢字機能つきなので。2時間くらいはかかったかな・・・。
今のご時世、このあたりの設定の煩わしさは如何なものかと。もっと改善の余地がありそうですよ、電話機メーカーさん。うぬ。
家電量販店を見に行った
ネット注文でスマートに購入することも考えましたが、今回は「使い勝手」が最重要項目。しかも両親へプレゼントする訳なので、実物を目で見て確かめてから慎重に買い物することに。
大手家電量販店を幾つか見に行きました。が、、固定電話需要が少ないからか、まあ、店員さんがなぜだかあまり詳しくない。
みなさん、パンフレット片手に「〜〜の機能はあるようですね。」などと説明してくれます。
ってな感じで。
設置しても、安心はできない
電話のルールを作る
親戚だけは、お父さんお母さんの携帯番号を知っているわけだから、
携帯電話をメインで使うようにしよう。固定電話には親戚からは掛けないようにしよう。と決め事をしました。
また、固定電話は基本、鳴ったとしても出ない。赤いランプで鳴ったら絶対出ない。登録している番号は緑のランプがつくだろうけど、本当に緊急なら留守電入れるだろうし、すぐにもう一度電話かかってくるだろうから。
幸いお父さんもお母さんも、大きな怪我も病気もされず今もシャキッとされています。
ですが、こう言った勧誘、詐欺電話には本当にうんざりです。
我が家だけじゃなく固定電話を持つ高齢の世帯は今も多いのが事実。
まだうちの親は大丈夫!自分たちで勝手になんとかするでしょ!!とご両親のお元気さに甘えるのではなくて、事前に話し合って、対策は練っておきたいものですね。
電気屋で会った、おばあさんがかわいそうで。
家電量販店に行った時、杖をつきながら固定電話コーナーを訪れる一人のおばあさんがいました。
我が家の隣で、
「じゃあ、お兄さんが勧めるその電話機にしようかねぇ。電話の設置もしてもらいたくてねぇ」などと、店員さんとやり取りしていました。
我が家の隣で、
「じゃあ、お兄さんが勧めるその電話機にしようかねぇ。電話の設置もしてもらいたくてねぇ」などと、店員さんとやり取りしていました。
設置なんて、コードを差すだけだから簡単なのに・・・。でも、やはり家電の設置は不安なのかな。お金出してでもミス無くプロにやってもらいたいという心境は、分からなくもない。
まあ、この程度の設置ならお子さんやお孫さんがちょっとやってあげれば済む話なのに。。わずらわしい電話番号登録も、子ども達がサクサクやって手伝ってあげればいいのに。
そんな偶然出会ったあの時のおばあさんが気がかりでなりません・・・。そのおばあさんの子や孫に向け、この記事を書きました。
そして、この記事が詐欺対策の電話機をお考えの方、電話機メーカーの方、みなさんの一助となれば幸いです。
では。カオジロでした!